SDGs 解決のための具体的な研究
当講座は、「低炭素を実現しながら産業活動を行う持続可能な社会の構築」を目的に研究を行っています。
これは、SDGs解決のための具体的な施策を提案する研究となり、特に、SDGsカテゴリーの中の⑦「エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、⑨「産業と技術革新の基盤をつくろう」、⑬「気候変動に具体的な対策を」に関しては直接的な問題解決となる可能性があるため、国内外の企業や政府機関から注目されています。
エネルギーをみんなに そしてクリーンに
デュナリエラの光合成の力により、太陽光と大気中のCO2を出発点とするエネルギー生産、化学物質生産を行います。
我々の提案するバイオマスショア構想は、これまで利用されることのなかった海岸沙漠地域に、石油コンビナートに替え、バイオマス・コンビナートを形成させることでエネルギーを作り出すものです。そのため、多くの人にクリーンなエネルギーを供給することが可能になると考えられます。
産業と技術革新の基盤をつくろう
デュナリエラは細胞内に、さまざまな種類のタンパク質、カロテノイド類(抗酸化作用、高付加価値品)、さらにはオイルも貯めることができます。
タンパク質の蓄積量は大変高く、培養条件によっては驚くべきことに牛肉よりも高いタンパク質含有量を誇ります。
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ベータ・カロテンをはじめとするカロテノイド類も大変豊富で、これら抗酸化作用のある高付加価値品は、社会基盤原料として利用することができます。
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オイル類は、食品油脂、洗剤原料、バイオ燃料として利用の可能性があります。
バイオマスシェア構想の主なアウトプットは、これらを社会基盤原料として利用することにあります。例えば、様々な発酵産業に使う原料、洗剤原料、 プラスチックを作る原料、養殖の原料などです。
気候変動に具体的な対策を
デュナリエラを出発点とするエネルギー、化学物質生産のサイクルは、大気中のCO2を出発点とします。
我々の提案する「バイオマスショア構想」は、これまで利用されることのなかった海岸沙漠地域に、石油コンビナートに替えバイオマス・コンビナートを形成させることで、二酸化炭素を削減しながら産業活動を行える社会のモデルを形成することです。
地球温暖化、CO2濃度の上昇問題をクリアし、気候変動に関する具体的な対策であると考えられます。
東大×SDGs:先端知からみえてくる未来のカタチ
東大×SDGs:先端知からみえてくる未来のカタチ
東京大学未来社会協創推進本部=監修
東京大学が全学を上げて取り組む代表的なSDGsプロジェクト87についてわかりやすく紹介した書籍です。
当研究室 特任准教授 倉橋は「石油コンビナートからバイオマス・コンビナートへ!」というタイトルで、沙漠海岸の水田で生育された微細藻類を出発点とするバイオマスコンビナート構想について執筆しています。
東京大学未来協創推進本部(UTokyo Future Society Initiative)の登録プロジェクト
本講座のバイオマス・ショア構想は、SDG'sを最大限に活用する東京大学未来協創推進本部(UTokyo Future Society Initiative)の登録プロジェクトとなっています。
我々の研究成果(~2021)
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EUによるD-Factory※ 研究成果の10倍の培養スピードを 達成することに成功した(千葉の実験場)。
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加えて、コストがD-Factory の10分の1程度となった。
2021年9月、ペルー生産省の機関と共同研究契約を締結し、共同で再現性実験を開始した。
※ D-Factory project(DはDunaliellaのD)は、EUが13億円の研究開発費と4年の歳月をかけ、Dunaliella の栽培と処理に基づく持続可能なCO2藻類バイオ・リファイナリー確立を目的に行ったプロジェクト。