微酸性電解水の殺菌効果を検証する研究
株式会社トヨトミと共同で、微酸性電解水の殺菌効果を検証する研究を行い、生命・環境科学国際誌「PeerJ」に論文を発表しました。
- Naka, A., Yakubo, M., Nakamura, K., Kurahashi, M. (2020) Effectiveness of slightly acidic electrolyzed water on bacteria reduction: in vitro and spray evaluation. PeerJ, DOI 10.7717/peerj.8593
https://peerj.com/articles/8593/
研究の概要紹介
世の中には化学的な消毒液がたくさんありますが、多くの強力なものは潜在的な毒性や腐食性・揮発性があり取り扱いが難しく、逆に安全であっても効果がないものもあります。しかしここに微酸性電解水という、水道水感覚で使える殺菌水があります。微酸性電解水の有効成分は次亜塩素酸です。これは厚生労働省、環境省、農林水産省から多くの点で安全性を認められています。食品添加物としての濃度は80 mg/Lまで認められており、次亜塩素酸水は電気分解で作られたものだけが厚生労働省により認められています。
この殺菌効果研究では、微酸性電解水を使用した液体実験と噴霧実験を行いました。液体実験では、微酸性電解水と次亜塩素酸ナトリウムを同じ濃度(0.5 mg/L)でバクテリアをどのくらい殺菌できるかを確認しました。バクテリアはEscherichia coliとPseudomonas aeruginosaという種を使用しました。
結果として、Escherichia coliの場合、微酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウムの1500倍程度の効果があり、Pseudomonas aeruginosaの場合、微酸性電解水は次亜塩素酸ナトリウムの100倍程度の効果が認められました。
噴霧実験では、微酸性電解水濃度10 mg/Lと20 mg/Lの実験を行いました。噴霧実験の場合は、肌kの表面にも生息しているStaphylococcus epidermidisを使用しました。結果は下図の通りです。濃度10 mg/Lの場合は、60秒後に89%のバクテリアが殺菌できました。また、濃度20 mg/Lの場合は、60秒後に100%のバクテリアを殺菌できました。結論として微酸性電解水は、液体でも噴霧でも、安心して使用できます。噴霧の場合は、噴霧し続ける必要がないと分かりました。短時間の噴霧でも十分な効果があるからです。微酸性電解水は環境に優しく安全で、食品工場、公共施設、自宅などで、液体と噴霧の両方の形態で使用できます。